全身疾患のある方の抜歯
全身疾患のある方の抜歯:安全な歯科治療のために
茅ヶ崎徳洲会病院の歯科口腔外科では、高血圧、糖尿病、心臓病などの全身疾患をお持ちの方や、特定の内服薬(血液をサラサラにする薬や骨粗鬆症治療薬など)を服用されている方の抜歯を、安全かつ専門的に行っています。全身疾患を抱える方が安心して歯科治療を受けられるよう、医科主治医と連携し、全身状態を十分に把握した上で治療計画を立てることが重要です。
主な全身疾患と内服薬の種類
抜歯の際に特に注意が必要となる主な全身疾患や服用薬には、以下のようなものがあります。
心臓・血管系の疾患
- 疾患例: 高血圧症、狭心症、心筋梗塞、不整脈など
- 注意点: 抜歯時のストレスによる血圧上昇や、疾患の悪化、使用している薬剤(抗凝固薬・抗血小板薬など)による出血傾向の増大。
代謝・内分泌系の疾患
- 疾患例: 糖尿病
- 注意点: 血糖コントロールが不良だと、抜歯後の傷の治りが遅れたり、感染症のリスクが高まったりします。
骨の疾患と治療薬
- 投与薬例: 骨粗鬆症の治療に用いられるビスホスホネート製剤(BP製剤)や抗RANKL抗体製剤(デノスマブ)など ※注射もあります。
- 注意点: これらの薬剤を服用中に抜歯を行うと、薬剤関連顎骨壊死 (MRONJ) という、顎の骨が腐ってしまう重篤な合併症を引き起こすリスクがあります。
血液疾患
- 疾患例: 血友病などの出血性素因
- 注意点: 血液が固まりにくいため、抜歯後に重度の出血を引き起こす可能性があります。
全身疾患が抜歯に与える影響とその症状・原因
全身疾患が抜歯に与える影響は多岐にわたり、それぞれが口腔外科手術を複雑にする原因となります。
1. 症状と原因
| 疾患・薬の種類 | 抜歯における症状(リスク) | 主な原因(メカニズム) |
|---|---|---|
| 抗凝固薬・ 抗血小板薬 |
抜歯後の止血困難、出血の持続 | 薬の作用で血液が固まる機能(凝固能)が抑制されているため。 |
| 糖尿病 (血糖高値) |
抜歯後の感染、傷の治癒遅延 | 高血糖により免疫機能が低下し、細菌への抵抗力が弱まるため。血管の障害により血流が悪くなるため。 |
| 抗RANKL 抗体製剤 |
薬剤関連顎骨壊死 (MRONJ) | 薬剤が骨代謝(骨の吸収と形成のバランス)を抑制し、抜歯後の治癒過程で骨の修復が妨げられるため。 |
| 高血圧・ 心疾患 |
術中の血圧急上昇、不整脈、心発作 | 抜歯時の痛みや不安(ストレス)が交感神経を刺激し、心臓に過度な負担をかけるため。 |
安全を確保するための治療法と連携
全身疾患のある方の抜歯は、患者さんの安全を最優先に進められます。
1. 術前の徹底した情報収集と診断
- 医科主治医への照会: 全身疾患の状態、内服薬の種類と服用期間、血液検査データなどを医科主治医と連携して確認します。
- 休薬・減薬の判断: 特に血液をサラサラにする薬については、安易な自己判断や休薬は非常に危険です。血栓症(脳梗塞、心筋梗塞など)のリスクを考慮し、医科主治医と連携の上で、基本的には継続したまま処置を行います。ビスホスホネート製剤など、休薬してもリスクが軽減しない薬もあります。
2. 安全に配慮した治療計画と実施
- モニタリング: 抜歯中は、血圧や心拍数などを随時チェック(モニタリング)し、全身状態の変化に速やかに対応できる体制を整えます。
- 低侵襲(ていしんしゅう)な処置: 手術時間を短くし、組織への負担を最小限に抑える(低侵襲な)方法で抜歯を行います。
- 感染予防: 必要に応じて抗生物質を投与するなど、抜歯後の感染を予防します。
当院の歯科口腔外科では、院内の他科(内科など)との連携がスムーズに行えるため、全身状態に合わせた安全で適切な抜歯・歯科治療を提供できる体制が整っています。
入院下に行ったり、局所麻酔の他に、静脈内鎮静法などで安全に手術を行います。
ご自身の全身疾患や内服薬についてご心配な方は、ご予約の際に必ずお申し出ください。
※初診の方は、必ずかかりつけ医からの紹介状とお薬手帳をご持参ください。 かかりつけ医と連携し、診療を行ってまいります。
※予約の方が優先となりますので、予約がない場合はお待たせいたしますことをご了承ください。来院前にお電話をいただけますと幸いです。
※急患の方はお電話をお願いいたします。緊急性があると判断した場合は、初診受付時間外でも対応いたします。






